二〇〇四年 一月 デンタ日記
一月三一日 北京からの二人 ? 
 Yさんは五十代の男性で北京に長期出張中です。数日前に帰国しました。歯周病の急性発作で頬まで腫らして来院されました。原因の歯は抜かなければいけませんでした。日本での数日の休暇は歯の治療に費やされてしまったようです。Yさんはいつも歯のトラブルと共に一時帰国されます。Yさんは明日北京に出立するそうです。
 Sさんは二十代の女性で、北京に留学中です。旧正月休みなのでしょうか、一時帰国して六年ぶりに来院されました。。昨年から右下の奥歯に違和感があるようです。レントゲンを撮ったら親知らずが埋伏してました。親知らずの抜歯は私には手に負えないので筑波大学付属病院口腔外科を紹介しました。休暇中に親知らずを抜歯できるでしょうか。
 今日は北京からお二人の急患が来院されました。海外長期出張中滞在中のみなさん、帰国予定が決まりましたら是非かかりつけの歯科医院で歯の健診を受けてください。
 ところで、左の写真は診療報酬明細書です。診療行為の単価は点数で決まってるのです。1点10円です。今夜は、診療報酬請求いわゆるレセプトをしなければ。 いう!サムイ。

一月三〇日 光重合レジン
 Fさんは六〇歳の男性です。昨年十月頃は歯ぐきから出血するような状態でした。衛生士の歯石除去や歯ブラシの使い方の指導が功を奏して歯ぐきの状態がとても良くなりました。もう出血しません。きれいな歯ぐきです。
 今日は、気になっていた前歯の虫歯と破折したところを光重合レジン(光を当てると固まってしまう合成樹脂)を使って修復しました。この材料は歯に接着するので歯を削る量を最小限にすることができます。

一月二九日 こいつの名前はナナシ。 
 私はアメリカザリガニを飼っています。現在45cm水槽に二匹のザリガニが居ます。昨年八月、小さいザリガニ七、八匹を八坂公園の人工川から採取してきて水槽に放ちました。活発な目立つ奴には、名前を付けました。レーニン、スターリン、カラシニコフなどです。こいつは、水槽に放たれてすぐに触角二本と左の鋏をちょん切られてしまいました。いつも物陰に隠れてなかなか餌にありつけません。他は次々に脱皮して大きくなります。しかし、体が大きくなると狭い水槽では隠れるところがなくなりとても危険なのです。名のある他の強豪は、いつの間にか姿を消しました。おそらく、ナンバーワンのレーニンに食われてしまったのでしょう。
 こいつもとっくに消えてると思ってました。最近までその生存すら未確認だったのです。たて続けに脱皮したのでしょう。かなり大きくなりました。でも触角は体長の割りに短いです。左の鋏は再生してません。こいつには、名前をつけてませんでした。
 だからこいつの名前はナナシです。 ザリガニには教わることが多いのです。

一月二八日 分割抜歯
 Gさんの右下第一大臼歯の近心根(レントゲン写真中央の歯の右側の歯根)が破折してしまいました。しかたなく抜歯です。でも遠心根(レントゲン写真中央の歯の左側の歯根)は残しました。残した歯根と第二小臼歯を支台(橋げた)にしてブリッジをします。
 破折した歯根を分割して歯の半分だけ抜歯することは良くあることです。今日、Gさんのブリッジを装着しました。
 

一月二七日 手ごわいK君!
 K君は二歳。(四歳ではありません。)お口をあーん!して見せてくれますが、なかなか治療はできません。一人で治療椅子上に座れただけでもたいしたものなのです。ここまでできるようになるまで小児治療導入プログラムを四回しました。これ以上は無理、椅子上で横になることすらできません。とても不安だからです。でもK君の下顎の奥歯には虫歯があるんです。何とかしなければ。
 三歳以下の小さいお子さんは虫歯の治療はできません。だからこそ虫歯にする前に予防処置などの手を打つ必要があるでしょう。
 

一月二六日 治療の練習 
 S君は五歳。歯科医院は初めてです。上顎の前歯と下顎の奥歯(乳歯)に虫歯ができてしまいました。今日ははじめに私が診察(視診)をしてからスタッフが小児治療導入プログラム「治療の練習」をしました。五歳の子はけっこうしっかりしていて初日から治療(切削や充填)ができそうな子どもさんもいます。でも、用心用心!治療の練習をしながらコミュニケーションをとり不安を取り除きます。そして、思いっきり褒めて自信をつけてもらいます。スタッフがS君と練習をしている間に、私はお母さんにS君の虫歯の状態や治療方針を説明します。
 次回はシーラント(予防充填)をする約束をして今日の診察を終わりにしました。

一月二五日 日曜の朝は、いつもグデグデ! 
 今日は日曜、いい天気。休みの朝は早起きしますが、いつも、グデグデ!。でも昨夜夜更かしして朝寝坊しました。朝ご飯をグデグデ食べながらテレビを見ていると、NHKの番組「ようこそ先輩」がはじまります。この番組が好きです。今日の先輩は、柔道の山下さんです。何事も頂点を極めた人の一言一行は研ぎ澄まされ鋭い一撃です。心に滲みます。
 この番組が終わってからいつもより遅い時間にグデグデ散歩に出かけます。帰る時刻を気にしなくてすむので写真を撮りながらゆっくり散歩します。いつも足首に2Kgのウエイトを着けてます。ウエイトをつけはじめてもう三ヶ月、だいぶ筋肉が付いてきました。足だけではなく背中に筋肉が付いてきたのには驚きました。やはり、歩くことは全身運動ですね。みなさんもタバコをやめて歩いてみませんか。

一月二四日 失われた四〇年、その後 
 四〇年ぶりの歯医者でとても緊張されているYさん、今日は三回目の来院です。前回につづき今日は右上顎のレントゲン写真を撮って確認しました。やはり、今日も二本抜歯しなければなりません。
 今日は歯科衛生士が、歯周病のことや歯石のこと歯ブラシの使い方などをYさんにお話しました。Yさんは関心をもってよく話を聴いてくれました。今回抜歯しないですんだ歯は、できるだけ長く持たせてほしいですね。Yさんと歯科衛生士がもっと早く出会っていれば何本かの歯は抜かずにすんだかもしれません。
 みなさん、治療のためではなく、予防のために歯科衛生士に会いに歯科医院に行ってみませんか。

一月二三日 義歯にレービンブレード 
 Nさんの新しい義歯が入りました。普通の義歯は一般的にレジンという硬い樹脂でできています。人工歯の部分も硬質レジンでできている場合が多いです。Nさんの義歯にはレービンブレード(商品名)という金属のブレードが付いています。このブレード一長一短あるのですが、母の義歯に使ったところ好評だったので患者さんにも勧めています。
 Nさんの義歯は下顎は総義歯です。上顎はまだ前歯が残っています。Nさんも新しい義歯に名前を入れることになりました。 

一月二二日 寒い風に暖かい日差し 
 朝から冷たい風が吹いていましたね。特に夕方に冷え込んできて寒い一日でした。午後は、茨城県歯科医師会学校歯科委員会の会議があって水戸の歯科医師会館に出張だったんです。帰りは九時過ぎになりました。寒かったです。でも、日差しは朝から輝いていてなんとなく春を感じてしまいました。寒さはこれからますます厳しそうなのによく見ると新芽も膨らんでいます。院長室に置いた鉢植えの雑木の新芽が葉になっています。

一月二一日 義歯の調整
 Sさん、今日は四回目の義歯の調整です。前回、診察時にテストフード(試験食甘納豆)を食べてもらってOKでした。 が、数日たつとまた痛いところが出てきます。義歯になれて良く噛めるようになってさらに強く噛むようになるからだと思います。今日は、前回より硬いテストフード(せんべい)を噛んでもらって義歯を調整しながらチェックしました。
 Sさんの「せんべいでもOK」が出たので今日の診察を終わりにしました。もう大丈夫かな。
 

一月二十日 ザリガニの脱皮 
 みなさんは、ザリガニの脱皮を見たことがありますか。私はアメリカザリガニを飼っています。名前はレーニンです。
 ザリガニは脱皮に失敗して死んでしまうことがあります。脱皮の直前直後はうまく動けないので捕食者に食われてしまうこともあるでしょう。彼らは命がけで脱皮します。成長するためには死のリスクを背負って脱皮しなければなりません。私は、いつもザリガニの脱皮に勇気をもらいます。
 昨年、十一月にレーニンが脱皮しました。写真は、そのときレーニンが脱皮する六時間前のものです。ザリガニは脱皮時期が近づくと数日前から体色が暗くなり十数時間前から尻尾と胴体の間が広がって白い肉がむき出しになってきます。脱皮は一瞬ですが、数週間前から準備されているのです。

一月十九日 抜歯 
 Tさんは七十代の男性です。左奥歯の痛みをもって来院しました。レントゲンを撮ってみると左下の七番目歯の近心根(歯の根のうち近心側。写真では左側)が歯周病巣が歯根の先端まで進行しています。残念ですが抜歯しました。
 抜いた歯をみると歯根に歯石がいっぱい付いています。歯周病は自覚症状なく進行します。痛みが出てからでは手遅れです。定期健診をして毎回歯石を除去していたらこの歯もまだ抜かずにすんだかもしれません。

一月十八日 歯科医師会西南支部新年会 
 みなさん雪が降らなくてよかったですね。いいお天気です。今日は午後から歯科医師会の新年会に古河まで行ってきました。岩井の歯科医は茨城県歯科医師会西南支部に所属しています。(歯科医師会に入会していない歯科医師もいます。)
 私は歯科医師会で学校歯科委員をしています。来月、新人の学校歯科医を対象に行われる研修会で、学校歯科保健について講演をすることになりました。いまその時話をする原稿をまとめているところです。

一月十七日 歯並びと歯科矯正治療 
  Sさんは歯並びが悪いので歯科矯正治療を予定しています。重なっている前歯の間がどうしてもうまく磨けないので虫歯になってしまいました。歯ブラシが入りにくいところは、治療器具も入りにくいので虫歯治療がとても難しいのです。
 歯並びが悪いということは見た目が悪いと言う事だけではなく、いろいろな機能的障害、虫歯や歯周病など二次的な不具合が引き起こされます。

一月十六日 岩井保育園の歯科健診 
 午前中に岩井保育園で今年度二回目の歯科健診をしました。岩井保育園では年に二回歯科健診を行っています。虫歯が一本もないお子さんもいたのですが、多くの園児は虫歯になり治療できずにある状態です。小さい園児にとって虫歯治療は難しいことです。だからこそ虫歯予防が大切なのですね。
 小さなお子さんをお持ちの方は、虫歯予防に関心を持って今すぐ実行できる事からはじめましょう。親の無関心は、小さい子供に虫歯の苦痛と虫歯治療の苦しみを与えることになります。

一月十五日 義歯の修理
 Fさん、残っていた下顎の歯が抜けてしまいました。ついに上下とも総義歯です。新しい義歯ができるまでは時間がかかるので歯が抜けた部分を修理し食事ができるようにしました。診療室で甘納豆を食べてもらい噛めることを確認して今日の診察を終わりにしました。
 

一月十四日 ブリッジ装着
 Kさんのブリッジが装着されました。なくなってしまった歯の両隣の歯を削って金属冠で覆います。その二本を橋げたにして亡くなった歯を補います。このような形式をブリッジ(橋)と呼びます。健全な歯をできるだけ削らないようなデザインにします。また掃除しやすいようなデザインにします。これでKさんの奥歯の機能ができるだけ回復されればいいのですが。

一月十三日 義歯に名前を 
 Sさんの新しい総義歯が入りました。精密な義歯を作るには歯科医も患者さんも苦労をします。苦労して作った義歯を亡くしてしまったら大変です。私は、患者さんの新しい義歯に名前を入れることにしています。
 総義歯で噛めなければ使い物になりません。診療室で甘納豆を食べてもらいました。少し調整して何とか甘納豆を食べることができたので今日の診察を終わりにしました。でも、新しい総義歯に慣れて本格的に食事ができるようになるには一ヶ月ぐらいかかります。Sさんも早く慣れるといいですね。

一月十二日 寒い空にも華 
 今日は、休診日です。穏やかな日でしたね。午後二時ごろ散歩に出かけました。
 さむい空にも華をつけるものがいます。
 種を育むものがいますね。
 散歩の途中で撮影しました。

 祝 「成人の日」 !

一月十一日 見えなかった富士山 
 今日は、風が強かったですね。所用でつくば市に行ったその帰り道、富士山がくっきり見えました。日没には、そのシルエットがきれいに見えるのではないかと期待しました。家族みんなで利根川の堤防まで日没を見に行きました。でもちょうど富士山の方角に雲が広がっていたのでシルエットを見ることはできませんでした。
 今頃の季節、利根川の堤防の夕暮れが好きです。関東平野の辺境の山々がシルエットになって浮かびあがるからです。

一月十日 治療の練習 
 A君は三歳、今日は三回目の「治療の練習」をしました。おねえさんとの練習は上手にできました。(左側写真)でも、私とは練習してくれません。(右側写真)まだまだ治療には入れませんね。
 当院に初めて来られたお子さんには、治療の練習プログラムを実施します。治療を成功に導くためには是非必要です。あせりは禁物です。詳しくは以下のページをご覧ください。小児治療導入プログラム

一月九日 失われた四〇年 
 Yさんは、当院に初めて来られた方で五十代の男性です。四〇年ぶりの歯医者でとても緊張されている様子です。十才のとき生まれてはじめて行った歯科医院でとてもいたい思いをしたそうです。その後、四十年間、Yさんは歯医者に行けなかったそうです。
 写真はYさんの左上の奥歯のレントゲン写真です。残念ですがほとんどの歯は崩壊して抜歯をしなければなりません。このような状態になってしまったのは、Yさんだけの問題ではなさそうですね。レントゲン写真の説明、治療方針、今後の治療手順をお話して初回の診察を終わりにしました。

一月八日 朝の満月 
 私は、いつもよりちょっと早起きしました。今日は、木曜日で休診日です。いつも休みの日は早起きです。散歩に出たらちょうど満月が沈むところです。久しぶりに日の出前に散歩に出かけました。
 年末年始は屋根裏物置と院長室の整理に励みましたが、グデグデやっていたのでいっこうに片付いていません。おまけにデスクワークが溜まってます。でも、休診日はやっぱりグデグデしちゃうのです。今日もたいして進展しないだろうな。
 私は、診療日の方が、何事もテキパキ進みます。

一月七日 医局会議 
 今日は、月に一度のスタッフ会議の日です。午後の診療を二時間休んで会議をします。患者さんに喜んでもらえる歯科医院をつくるには、院長である私の考えを十分にスタッフに理解してもらう事が大切です。が、それ以上にスタッフにはいつも患者さん側により近い立場に居てもらい患者さんの気持ちを理解して仕事をしてもらうのがより大切であると考えています。
 スタッフそれぞれの経験を交換し共有する上でも重要な時間です。

一月六日 経過観察 
 Kさんが、久しぶりに来院されました。奥歯の詰め物が外れたからです。その歯は、虫歯が少し進行してましたが、レジンという材料で修復して終わりになりました。
 左のレントゲン写真(左側は本日撮影、右側は平成八年撮影)は、Kさんの上顎の前歯のものです。歯が変色して気になるのです。変色以外は問題ないのでこのまま引き続き経過を見ることになりました。
 歯のレントゲン写真は小さいので見る機会の少ない患者さんにとってはわかりにくいものでしょう。かかりつけの歯科医院でレントゲンを見る機会があったら手に取ってじっくり見せてもらいましょう。

一月五日 仕事始め  
 午前八時半、診療開始30分前にスタッフが出勤してきます。前準備に結構時間が掛かるからです。スタッフが手分けして行います。そして朝礼をします。本日の予定(来院される患者さんの状況など)を確認します。そして九時に診療開始です。 今日は仕事始めなので記念写真を撮りました。顔は恥ずかしいので「手の記念写真」をとりました。どの手も頼もしい有能な私のスタッフです。
 みなさんは、どれが誰の手だかわかりますか。こんど来院されたときにじっくり手を見てくださいね。ちなみに下が私の手です。

一月四日 書初め 
 みなさんは書初めをしますか。うちのかみさんが、「書初めはスポーツだ。」とかいうんです。そんな! とか思いつつはじめてみると夢中うになります。字がへたくそな私にしては良くできたので思わず額に入れました。人に見せたいわけではありません。今年は「自分の無意識を意識しよう。」というわけです。明日から仕事が始まります。気を引き締めて今年もがんばります。みなさんよろしくお願いいたします。

一月三日 朝ごはん 
 今日の朝ごはんはダッチアップルパンケーキです。レシピはウイリアムソノマのホームページにあったそうですよ。
 うちのかみさんは時間のあるのんびりした朝はちょっとかわった朝ごはんを作ります。コーヒーとヨーグルトを添えてちょっとおしゃれなホテルの朝食をイメージしてるようですが、..。
 「足りない人は、うどん食べて!。」という台詞はホテルでは聞かれない。

一月二日 屋根裏物置 
  今日は、新年早々屋根裏物置の整理をしました。電卓のような形をしているのは私がはじめて買ったコンピュータ(シャープのポケコンPC-1251)です。まだ現役です。電卓代わりに使ってます。茶色の部分はプリンターとマイクロカッセットのデータデコーダーです。屋根裏物置から十数年ぶりに出てきました。まだ動きました。私の趣味はパソコンです。趣味のページ「ある日秋葉原で」におばかなパソコン道楽を紹介してます。

一月一日 謹賀新年 
  あけましておめでとうございます。
 初詣では、いつも八坂神社です。一の鳥居から参道を歩きました。今年も良い出会い、良い事、沢山ありますように。

二〇〇四年一月  デンタ日記

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